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2025年9月19日
移住者の声
羊蹄山のふもとで見つけた、自分らしい暮らしかたと町との関わりかた

「子育てが、僕たちの暮らしを変えた」──都市生活から地方への転換点
札幌出身の加藤朝彦さんが、東京から喜茂別町に移住したのは2017年の夏のこと。きっかけは、第一子の誕生でした。
東京での子育ては、保育園に入れず、近所に安心して遊べる公園も少ない。そんな中で「子どもを自然の中でのびのび育てたい」と夫婦で話し合い、地方移住を本格的に検討するようになったといいます。
仕事はフリーランスで、ネット環境があれば続けられる。ならば、住む場所を変えることで暮らしを豊かにできるかもしれない──。そう考えたとき、候補に挙がったのが北海道・喜茂別町でした。
札幌から車で90分、新千歳空港やニセコ、ルスツといった観光地の“通過点”でもある喜茂別。人の流れがあるのに“止まらない町”という状況に、ビジネスチャンスの余白を感じたそうです。そしてもう一つの決め手は、「羊蹄山を目の前に暮らせるなんて、すごくいいなと思って」と笑います。

「この町にカフェがないなんて!」──ゼロからつくった“人が集まる場所”の物語
移住してすぐ、加藤さんは地域おこし協力隊としての活動をスタート。任務は、町のPRと商業活性化。「まずは地域の人とのつながりをつくりたい」と考えて応募した協力隊制度は、まさに地域への入り口になりました。
着任後に驚いたのは、「町の中心部に10年近くカフェがなかった」という事実。
住民からも「お茶を飲める場所がない」「休憩できる場所が欲しい」という声があり、それなら自分がつくろうと決意。
「人が集まる場所をつくりたい」と語り続けたことで、町の人から空き物件の情報が舞い込んできました。そこから生まれたのが、町の中心部にある 『coffee & sharespace tigris(チグリス)』。
カフェであり、町民の交流拠点であ り、外から来る人と町をつなぐハブでもあるこの場所は、加藤さんの想いを象徴する拠点となっています。
“任期が終わっても、ここにいたい”──喜茂別で見つけた自分の役割
協力隊の任期を終えた後も、加藤さんは喜茂別に暮らし続けています。
現在は 移住コーディネーター として、町に関心を持つ人たちの相談窓口となり、個別相談やオンラインイベントの開催などに取り組んでいます。
自身が移住者であるからこそ、移住前の不安や迷いに寄り添える。「どんな暮らしがしたいか」を丁寧にヒアリングし、町の魅力と人の温かさを伝える。
喜茂別への“はじめの一歩”を後押しする存在として、今や町に欠かせないキーパーソンです。
また、北海道の人の流れをデザインする仕事 として、道内各地の移住コーディネーターと連携し、喜茂別町だけではなく、さまざまな自治体の移住施策の支援も行っています。
それも、「他の地域で経験したことを、喜茂別町に活かしたい」という想いがあるからこそ。地域と人をつなぐ仕組みを広い視野でとらえ、北海道全体をフィールドに活動を続けています。
「この町を面白くする仲間をもっと」──次に目指すのは“挑戦する人”を支えること
加藤さんが次に目指すのは、「地域を面白くするプレーヤーを増やすこと」。
「町の魅力は、やっぱり“人”なんです。一人でも面白い人がいると、その分だけ町も面白くなる。だから、チャレンジしたいと思った人が動きやすくなる環境を整えていきたい。」
喜茂別町を、自分の暮らしの場であると同時に、地域プレーヤーたちの“ラボ” のような場所にしたい。
その思いを胸に、加藤さんは今日も、新しい仲間を迎え入れる準備をしています。
加藤 朝彦
1985年生まれ、札幌市出身。13年間の東京生活を経て、2017年に家族で喜茂別町へ移住。
地域おこし協力隊として活動しながら『coffee & sharespace tigris』を開業。現在は移住コーディネ ーターとして、喜茂別町および道内各地の移住支援、地域プレーヤーの伴走支援に取り組む。



