
第一子の誕生をきっかけに、東京から喜茂別へ
札幌出身の加藤朝彦さんが、東京から喜茂別町に移住したのは2017年の夏のこと。 きっかけは、第一子の誕生でした。
東京では保育園に入れず、近所には子どもを安心して遊ばせられる公園も少なかった。 「子どもを自然の中で育てたい」と夫婦で話し合い、地方への移住を考え始めたといいます。
仕事はフリーランスで、ネット環境があればどこでも続けられる。 それなら住む場所を変えてみようと考えたとき、候補に挙がったのが北海道・喜茂別町でした。
札幌から車で90分、新千歳空港やニセコ、ルスツといった観光地の“通過点”でもある喜茂別。 人は通るのに立ち寄る場所が少ない。加藤さんはそこに、商売を始める余地があると考えたそうです。 「羊蹄山を目の前に見ながら暮らせるのも、すごくいいなと思って」と笑います。
町の中心部にカフェがなかったので、自分でつくった

移住してすぐ、加藤さんは地域おこし協力隊として働き始めました。 担当は町のPRと商店街の活性化です。地域の人と知り合うきっかけがほしくて応募した協力隊でしたが、実際に町の人とのつながりはここから広がっていきました。
着任してから驚いたのは、町の中心部に10年近くカフェがなかったことです。
住民からも「お茶を飲める場所がない」「休憩できる場所が欲しい」という声を聞き、それなら自分でつくろうと決めました。
「人が集まる場所をつくりたい」と会う人ごとに話していたら、町の人が空き物件を教えてくれました。 そうして開いたのが、町の中心部にある 『coffee & sharespace tigris(チグリス)』。
コーヒーを飲みに来る町の人もいれば、移住の相談に訪れる町外の人もいます。今では町の人と外から来た人が顔を合わせる場所になっています。
協力隊の任期を終えて、移住コーディネーターに
協力隊の任期を終えた後も、加藤さんは喜茂別に暮らし続けています。
現在は移住コーディネーターとして、町に関心を持つ人たちの相談窓口となり、 個別相談やオンラインイベントの開催などに取り組んでいます。
自分も移住者なので、移住前に何が不安になるかはよくわかる。 相談に来た人には「どんな暮らしがしたいか」をじっくり聞き、町の様子や住んでいる人のことを伝えています。
喜茂別への移住を考える人が、最初に話を聞く相手になっています。
喜茂別町のほかに、道内各地の移住コーディネーターと組んで、ほかの自治体の移住施策を手伝う仕事もしています。
「よその地域でうまくいったことを、喜茂別でも試したい」というのが理由だそうです。
次は、町で何かを始めたい人を支えたい
加藤さんが次に目指すのは、「地域を面白くするプレーヤーを増やすこと」。
「町の魅力は、やっぱり“人”なんです。一人でも面白い人がいると、その分だけ町も面白くなる。 だから、チャレンジしたいと思った人が動きやすくなる環境を整えていきたい。」
喜茂別町を自分が暮らす場所にとどめず、町で何かを試したい人が実験できる場所にしたいと考えています。
そのために、町で新しく何かを始めたい人の相談にも乗っています。
加藤 朝彦
1985年生まれ、札幌市出身。13年間の東京生活を経て、2017年に家族で喜茂別町へ移住。 地域おこし協力隊として活動しながら『coffee & sharespace tigris』を開業。 現在は移住コーディネーターとして、喜茂別町および道内各地の移住支援、地域プレーヤーの伴走支援に取り組む。